《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
私は滝の中へと入っていく。


息を大きく吸い込んだけど、途端、激流で息が苦しくなる。


滝行を始めたのはいいけど、あまりの滝水の水圧に押されて、膝を崩した。


「・・・」


滝のそばで見ていた知弥が私の立つ滝水の中心に入ってきて、私の脇を抱えた。



そして、そのまま、奥へと進み、滝の中に出来た小さな祠に入っていく。



滝は轟音を響かせて、終りのない水の流れを作り出す。



「どうして手を差し伸べるのよ!」


「・・・悪かった…」



煩悩を断ったはずの知弥が私の頬を濡れた手で包み、キスを落とす。






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