《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
十九巻*噂の兄弟
祖父は藤原道永(フジワラノミチナガ)。藤原氏を栄華に導いた宮中では有名な策略家。

歴史にも名を残している。


父は藤原頼永(フジワラノヨリナガ)。

俺は3番目、滋弥は4番目の息子。俺の上にはふたりの兄と当時の帝の后となった姉の中宮がいた。


兄ふたりは父と共に宮中では高い位を就いていた。


俺は権力よりも、陰陽師の力に魅せられて、陰陽寮に身を置いた。
俺を真似るかのように、宮中の権力争いを嫌い、滋弥も陰陽寮に。



父上は大層、嘆いていた。



その上、父の薦める縁談は頑なに断る。強情で融通の利かない親不孝な息子だと多分、心の奥底では感じていた思う。



俺自身も己は強欲な男だと自負していた。

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