《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~

衝撃の真実~花奏side~

今夜も豪勢な食事がテーブルに並んでいる。


「食べなくてもいいよ…妃女神ちゃん」



垂れ耳の爽爾君。彼の耳はキモチを表すバロメーター。
今夜の爽爾君は声にも抑揚がないし、表情も憂かない。



「どうしたの?爽爾君」


爽爾君は私の耳元で囁いた。



「君は仙狐様の花嫁ではなく餌になるんだ…。安倍家の者を食すと強い霊力が宿るらしい。ココだけの話、仙狐様の霊力は尽きかけて、姿が消え始めている。君を食べて、霊力と姿の復活を目論んでいる」



「食べるって・・・」


だから、毎日3食、こんな食べきれない食事を並べて…太った女性がタイプとかじゃなくて、単に食べる為に、太らせたかっただけか。


「俺と一緒に逃げよう…」


「爽爾君…!?」


爽爾君の申し出はありがたいけど、そんなコトすれば、妖狐族の裏切り者として、処罰されてしまう。



「でも、爽爾君の身に危険が及ぶ」


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