《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
「いいんだよ~君の為なら…俺は…死だって覚悟できる」


爽爾君は私の肩を抱き、甘い声で囁きかける。
知弥と結婚するまで、生まれてこの方、恋に全く縁のなかった私。


男性に口説かれる免疫など、全くついていない。


知弥が見れば絶対、何か言いそうだけど、私は爽爾君の甘い囁きに頬を染めてしまった。

言った張本人はポーカーフェイスなのに、囁かれた私の鼓動は早鐘だった。



「だから…一緒に逃げよう~」


「でも…」


爽爾君の自分の身に、危険が及ぶリスクを承知で、私を護ろうと言ってくれる。



素直に彼のキモチを受け入れて、礼を言うのは彼のキモチを受け入れた証だから、何も言えず語尾を濁した。



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