《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
更に、歯茎から普段はない牙が現れ始める。



俺は口許を押さえ、必死に牙を隠した。



花奏の血の匂いが俺を狂わせるーーー・・・



苦しむ俺の元に、千早がタイミング良く、来てくれた。



花奏を教室に帰し、俺の血のタブレットを渡す。


俺は牙を消そうとタブレットを大量に口腔に入れ込んだ。


己の血を凝縮した錠剤ではこの激しい渇きと吸血衝動は止められなかった。



「くそっ…」



俺は舌打ちして、地に両手をつけ、爪を立てて草を掴んだ。



「私の血…吸いますか?知弥様」



「よせ。俺を滋弥のようにさせたいのか?千早」


「しかし・・・」





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