《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
妖たちと仲良しの姫が居ると京では噂されていた。


私のコトをいつしか皆が『物の怪の姫』と呼ぶようになった。



お付きの女官たちも一人二人と屋敷から去っていく。


母親も今にも現から消え入りそうな儚さを私に見せる。


我が身を恨み、私は母が亡くなれば、出家しようと考えていた。



庭の枝垂れ桜がまた美しい桜色の小さな花を咲かせた。



満ちた月の夜。



陽の下では目立つ見窄らしい衣。


夜の闇なら、紛れるコトができると思い、満開の枝垂れ桜に触れたくて、庭に飛び出した。







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