便利屋
「ちょっと蓮さん!あなた何して…!」
奈央の母親のヒステリックな声が響き渡り、俺は奈央を自分の胸に閉じ込めた。
『俺は、蓮じゃない。神原ヒロトだ…!』
もう奈央の彼氏役の蓮なんかじゃない!
俺は…ヒロト。
弱虫でちっぽけだったあのヒロくんでもない。
俺は奈央の手をとりエレベーターにかけ乗った。
奈央の瞳からは涙が一筋静かに伝った。
追っ手を遮断するエレベーターのドアが閉まるとき…、俺はまた奈央にキスをひとつ落とした。
━━━━俺たちはまだ始まったばかり。
だから、終わったなんて言うな。