先生とシンデレラ
「みんな、ここの学校の近くにある結婚式場の事は、知ってるね。」

続けて言葉を紡ぐ先生。

「そこのCMに出れるらしい。」

えぇっと女子が声をあげた。

そりゃ、そうだよね…

結婚式なんて、女の子が喜ばない訳がない。

「でも」

更に続けて。

「ミスコン優勝者だけみたいだけど。」

えーと今度は落胆の声が響く。

先生、相手はぁー?と誰かが叫んだ。

「相手…は、優勝者が勝手に決めていい。誘われたやつは拒否権ないみたいだね。最悪だね、これ。」

キャー…っと言う女子の黄色い声。

それに合わせて先生が、うるさい…、と言わんばかりに顔をしかめた。

…え。

拒否権、無いの?

って事は…

私が興味を持ち始めた時。

先生が、サラッと言った。

「…代表者だけど。先生が勝手に決めたから。」

…えっ?

その瞬間、教室がザワッとざわめいた。

誰なんですかー?と質問する男子の声。

先生は考える素振りを見せて言った。

「…知りたい?」

その声に合わせて誰もが息をのんだ。

そりゃそうだよね…

クラスの代表だもん。

優勝したら、良いけど負けたらどうなるか…

私、絶対嫌…

そんな事を考えていると先生が無言で歩き出した。
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