先生とシンデレラ
「あの綺麗な女の人、加藤の恋人なわけ?」

二人で歩いていると不意に三浦君がそう聞いて来て。

私は少し笑いながら。

「違うよ、先生のお姉さん。」

「えっ?!姉ちゃんなのかよ?!
すんげぇなぁ…やっぱDNAってあるんだな…」

ゆっくりと溜息を吐いている三浦君を見ながら。

「ねー…」
と言った。

「ってかさ。話変わるけど、良い?」

「…え、あ、うん。良いよ。」

「今日着てたドレス、あれ誰が選んだんだ?」



すぐ横を通って行った車を眺めながら。

「先生、だよ」

「…ふーん…あっそ。」

三浦君は少し考えた様な表情をしてから。

「俺にとって、これはチャンスなんだよな…」
と言った。

…?

「…チャンス?何の?」

私が思わずそう言うと。

三浦君は焦った様に
「何でもない。行こーぜ。」
と言って笑った。
< 166 / 449 >

この作品をシェア

pagetop