先生とシンデレラ
ステージで、右から順に
二組の奥田芽維ちゃんと一組の高田龍くん、
私と三浦君、
五組の小林柚亜ちゃんと氷川恭也くん、
そして六組の花森瑠璃ちゃんと福原祐くんで並んだ。

するとそれを見計らったかの様に、見慣れた司会者が出て来て、ステージの真ん中まで歩いて来て止まった。

そして、マイクのスイッチをいれて、口の前まで持って行く。

「…では。第一学年、第二次審査通過者、男女各二名を発表します。」

…“男女各二名”

それだけしか通れないだなんて。

心拍数が、速くなる。

「…まずは男子。」

三浦君の顔をちらっと見ると。

三浦君は、自信げに笑っていた。

「…三組、福原祐!」

拍手をしながらも考えるのは。

“どうか、私と三浦君が通過しています様に。”

「…そして、最後の一名は。」

三浦君が、私を見て、笑った。

「…四組、三浦優輝!」

ホッと息をつく。

隣の三浦君は一歩前に出てお辞儀をした。

先生と三浦君が、アイコンタクトをしたのが見えた。

「今呼ばれた生徒は舞台の右側に、呼ばれていない生徒は舞台裏に移動して下さい。なお、女子生徒は、真ん中に集まって下さい。」

その一言でそれぞれが移動する。

私の隣は、二組の代表奥田芽維ちゃんと五組の代表小林柚亜ちゃんだった。

その隣の奥田芽維ちゃんが、前を向きながら一言。

「…長谷川さん、次も頑張りましょうね」

「…え」

…どういう事?

どういう意味?

「…では、続いて女子。」

緊張しながらも前を向くと。

先生がニコリと笑うのが見えた。

「…二組、奥田芽維!」

その言葉に芽維ちゃんは、一歩前に出てお辞儀をした。

「…そして、もう一人は。
四組、長谷川羅々!」

…何で?

お辞儀をしながらも。

思う事はただ一つ。

なんで、

芽維ちゃんは。

“長谷川さん、次も頑張りましょうね。”

私とだって、わかったんだろう。






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