先生とシンデレラ
「“源氏の君!私を、京に連れて行ってください!”」

ステージには、華と三浦君。

私がその劇に見入っていると。

隣に座っていた先生が
「華、なんか色々こもってるね。」

先生はステージを見つめながらそう言って。

「…?」

「劇以外の感情も入れまくってるね。」

…否定出来ない。

そう思いつつ。

「…先生は、いつ気づいたんですか?」

私も、先生と同じようにステージを見ながら。

「…ん?」

「華ちゃんの気持ちに。配役の時にはもう気づかれてたんですよね。」

その言葉に先生は、笑いながら。

「華、羅々に言ったんだね。」

「はい…」

それから、しばらくの沈黙があって。

私が返事を催促するように先生の横顔を見ると。

「…羅々を見てたら、優希が羅々の事ずっと見てるなって気づいて…、そしたら華の目線にも気づいた。」

「…」

「すごく、切なそうな顔をしてたから、目を引いたんだと思うよ。」

その言葉に、私が黙り込むと。

先生は私のセットした髪を崩さない様に、私の頭を撫でて。

「…羅々が責任を感じると、華、怒るよ。すごく、怖い顔で。」

思わず笑いながら。

「…知ってます。」

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