先生とシンデレラ
私は下を向いて自分の手を握り締めながら、
「…先生がさっき言った、"可愛い"…とか、"食べちゃいたい"とかです…っ!」

先生はそんな私から目線を外さずに、羅々みたいに?、と言った。



私はそんな先生の一言にコクンと静かに頷いた。



先生は冗談で済んでも、私は冗談にならない。

私には冗談にならない。

冗談にしたくなくなるから。

ちゃんと、

その一言が

果たして
先生の本気なのか、
それとも冗談なのか、

確かめたくなる。


そしてそう思ったその時には、

もう抜け出せない。

罠に、嵌まってしまったから。

一度甘い誘惑の
味を
感覚を
快感を知ってしまったから。

またもう一度、
その味を
その感覚を
その快感を味わいたくなるから。

ーー永遠に味わい続けたいと思うから。

そして私もその魔の手に嵌まった一人だから。

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