先生とシンデレラ
「羅々、モデルのウォーキング方とか知ってる?」

私は慌てて、
「し、知るわけ無いじゃないですか!」
と言った。

すると先生は、だよね、と言ってプリントを見て黙りこんだ。

…そっか、ウォーキング…。

そういう事も身につけた方が良いよね…。

思ったより、大変そう…。

私がやんわりと思っていると。

先生が、
「羅々、明日までにモデルのファッションショーについてレポート書いておいで。」

…れ、レポート?!

「む、無理です、無理!」

私が勢い良く言うと先生は不機嫌そうな顔をして
「…何で。」
と言った。

「…何でって…。私、中学でもレポート、一回も書いた事無いし…。」

私の必死の問いかけにさえ、先生は耳を傾けてくれない。

"文句は言わせない"

そんな感じだった。

「まぁ、普通の学校はやった事無いだろうね。」

「…レポート書く方法も、分かんない…です…」

先生は、そう、と言って、私に
「…ミスコンどうしても優勝するんでしょ?…しなきゃいけないんでしょ?
そんな事ばっかり言ってたら、優勝出来ないよ?
ね、やってみようよ、羅々…。
まず、知らない事を無くしていかないと。
無様な姿、全校生徒の前で晒したくないでしょ。」
と言った。

私はその言葉にただ一回コクンと静かに頷いた。

「ん、良い子だね。」

そう言って先生は私の頭を優しく撫でた。
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