瞳の奥をのぞかせて
そう。俺は彼女、いや大城由吏の事を前から知っていた。
初めてあったのは彼女が高校三年の時。
咲揮が最後の文化祭だからと言って俺と昂斗と影政を無理やり招待したときだった。
24歳で俺達は仕事もあったが昂斗は影政の家の桐城財閥で影政の秘書をしているため主が休みならその部下も休みになり俺も休みをとらざる終えなかった。
二人とも咲揮の事を自分の妹のように可愛がってくれていた。
咲揮の通う桐城学園は桐城家が運営している超名門私立進学校だ。
幼稚舎から大学までありとあらゆる学校が揃っている。音大、美大、芸大、医大さらには専門学校まで。
俺達三人も桐城学園の卒業生でもある。
そんな場所だから懐かしく思い物思いにふけっていると、屋上庭園に白衣を着た女子生徒がいた。
白衣を来ているということは医大に進む人がいる医学科か研究者になるやつの多い理学科の子だろう。
俺は経営者になるべく育てられた部分が多いから総合学科だった。
もちろんすべてのジャンルの勉強をこなしたエリートだ。
俺は彼女に声をかけた。
遥揮「今日、文化祭なのに勉強熱心だね。」
由吏「あっ……。えっと……」
遥揮「俺に見られるのまずかった??」
由吏「いえっ!!そうではなくて……」
遥揮「??」
由吏「この薔薇とあなたの瞳の色が一緒だなって。」
遥揮「本当だ。青い薔薇なんだね。俺初めて見た。
由吏「私理学科なんですけど授業で薔薇の品種改良をしているんです。みんなは色鮮やかに明るい色で、私だけ青で落ち着いた色で、自分の暗い性格が出てるなぁって思ったんです。でも私の友達が綺麗だって言ってくれたんです。それで自信もって校内選考会に出してみたらって言われて……この子と話してたんです。出たいのかなって。花に聞くなんておかしいですよね??」
遥揮「いや。俺も綺麗だと思う。っていうか美しい。青の中でも深い青でとても美しい色合いだ。俺は好きだよ。自信もって校内選考会に出しなよ。きっと結果がついてくると思うよ。」
何て言ったのは自分が選考会の審査員をやるからなんて俺はすっかり忘れていた。
純粋に彼女のこの青い薔薇に対する想いに心響いたからだ。
由吏「ありがとうございます。貴方にそういっていただけると本当にこの子が美しいって自信が持てました。校内選考会に出します。それよりいいんですか??文化祭なのにこんなとこにいて。」
遥揮「あはは。それはこっちの台詞だけどね!!」
由吏「あっ……。それもそうですね!!あの……お名前は??」
そう人から聞かれていつも俺はハルと名乗る。弥薇遥揮とばれてはめんどくさいことも多いからだ。
遥揮「俺はハル。君は??」
由吏「由吏ですよ。ハルさん。どうして桐城学園の文化祭に??」
遥揮「妹に無理やりね。まぁ俺も卒業生ださ、久しぶりに来たかったっていうのもあったしね。」
由吏「へぇー。ここの卒業生何ですか!!ちなみにどこの学科でしたか??」
遥揮「総合学科。」
由吏「えっ!!あの総合学科ですか!?」
遥揮「うん。」
由吏「すごいなぁ。私も総合学科志望だったんですけど振り分けの時に先生方に理学科の方が向いてるって言われて言われるがままこっちに。」
遥揮「俺は由吏ちゃんはこっちの方が向いてると思うな。一つのことに一生懸命になれる君にはもってこいの場所だと思う。」
