蒼穹の誘惑
(高圧的なところも堅物なところも父にそっくりだわ!頑固ジジィ!)


みずきは去っていくその背に心の中で思いっきり悪態をついた。

「疲れたわ!本当ムカツクったら……」

ぶつぶつ呟きながら、力が抜けたようにソファに倒れこんだ。

ディオールのスーツが皺になる、なんてことは考えない。

「社長、言葉に気をつけてください」

「誰もいないからいいのよ!」

「外の秘書に聞こえますよ?」

こんなことは日常茶飯事なのだろう、ソファで項垂れるみずきに視線も寄越さず、高宮は素早く会議の後片付けを始める。

「ねぇ?」

「何でしょうか?」

「こっち見てよ」

「嫌です。さっさと片付けてしまいたいので」

「午後からの打ち合わにはまだ時間があるわよね?」

高宮の言葉は無視し、みずきの顔が小悪魔のように笑う。



< 14 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop