道化師と菫の花/GIADOOLⅣ

「そう・・・よかった・・・・・・・・。」


 マリアの優しそうな言葉。


 また・・・決心が揺らぐ・・・。


 分かっているんだ・・・。


 分かっているのだ。


 許すわけには行かない。


 人工知能を認めるわけにはいかない。


 だけど・・・。


 ・・・・・『お前は、菫を人工知能にしたいと考えたことが一度でもないという気か?』・・・。


 海人の言葉が、頭をよぎる。


 当たり前だろう?


 誰だって考える。


 キラが鈴蘭を擁護したように・・・キリトが、百合をかばったように・・・


 俺だって、俺だって出来ることなら・・・。


「おい・・・馬鹿なこと考えるなよ・・・。」


 海人が、自分にしか聞こえないような小声で口にする。


 分かっている。


 これから死んでゆくもの・・・そして、既に死んだもののために、彼女の存在を許すわけには行かない。


 マリアは死んだのだ。


 死んだものは帰ってこないのだ。


 帰ってきてはいけないのだ・・・・・・・・・・・・。

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