片翼の天使
「マジ腹減った。何食べる?」
「あたしオムライス。カナは?」
「ラーメン」
「色気0」
「いや女に色気出す趣味ないし」

結局あたしたちはオムライスとラーメンでランチにした。
この子といると本当に楽。
素のあたしでいられる。

「で?稼ぎ悪かったって何?」
「昨日のナンパくんファミレスの後ホテルだった」
「ぷ。貧乏デート」
「デートじゃない。ムカついたからホテル代まで全部抜いてやったわよ…3万しかなかったけど」

爆笑してるし。
あたしが体を売っても何とも思ってない。
だって―

「今夜久々に組まない?そろそろ新しい服で店員しなきゃだし」
「OK。あたしはギャル路線で」
「うぇ。お嬢かよ」
「大丈夫だって。昨日それで釣れたがら」

あたしたちはたまにふたりで蝶になる。
ヤバそうな奴でも一緒の部屋にいたら安心だし。

「そろそろ行くわ。また今夜駅前で」
「ん。じゃあね」

それぞれ違う方に歩き出す。
早くも今夜の事で頭はいっぱいだった。
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