蜜色チェーン―キミと一緒に―
『何かしてやれる事はないかって聞いてきたから、GY銀行の一番いい部署に就職させろって言った。
上辺だけの謝罪じゃないなら、それぐらいできるだろって。
向こうがどう出てくるかは知らないけど、どうせあれで懲りてもう俺の前には顔出さないだろ。
手放した息子がどうなってるか、興味本位で見にきただけだろうし』
目を伏せたまま話し続ける拓海くん。
今、拓海くんがどんな気持ちでいるのか。
少しでも分かりたくてじっとその瞳を見つめた。
『生んでおきながら存在を無視する母親に、捨てておきながら今更軽い気持ちで顔出す父親。
俺の周りには、自分勝手なヤツしかいないってつくづく思ったよ。
なんて、俺も十分自分勝手にできてるけど』
ハハってわざと軽く笑ってみせる拓海くんが、悲しかった。
ミルクティーの缶を窓辺にあるテーブルに置いて、ベッドに座る拓海くんに近づく。
目の前に立つと、拓海くんがゆっくりと私を見上げる。
そして、つらそうに微笑んだ。