恋合わせ -私じゃ…ダメなの?-
「ありがとう、眞鍋さん」


その日、あたしにとって今まで分からなかった渋谷祐二のミステリーが少しだけ解けた。



翌日、木曜日の朝からは眞鍋さんのアドバイスどおり、タイミングを見つけては、がんばって渋谷祐二に話しかけるようにした。

あたしは学生時代、水泳の選手としてがんばってたことを話した。

そして代わりに彼からはバイクとかメカいじりの楽しさを訊き出すことができた。

他にも好きなテレビの話から、夜、何時ごろ寝るのか、ってことまで話をすることができたし。


だけど……。


だけど新人教育のために与えられた期間二週間のうち、残る時間はもう明日一日だけしか残っていない。

たった一日でどうやって勝負を決めろっていうの?

そもそも、二週間の期限付きで離れ離れにならなきゃいけないような相手に巡り合わせるなんて、ロマンスの神さまは、なんて残酷な巡り合わせをするんだろ……。

そのとき、あたしはロマンスの神さまの性格の悪さをそーとー恨んだ―――――
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