久遠の花〜 the story of blood~【恋】
「ムダなことはしない主義なんでね」
そんな言葉を残し、少年はその場から消え去った。後に残った残骸を改めて見た男性は、重いため息をはく。
「処理は……しなければならないだろうな」
せめて死後、安らかになれるよう。
残った亡骸を、男性は出来るだけ集め、弔うことにした。
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長い眠りにつく前、面白いヤツに会った。
森の中で一人暮らす女は、周りから悪魔と言われ、はみ出し者になていた。ケガをしてたとはいえ、男のオレを介抱し、家に泊まらせる時点でおかしなやつとは思ったけど、まさか悪魔とはね。
って言っても、あきらかにそいつはただの人間。違うことといえば、薬に長けているってことぐらい。
まだ発症してなかったが、そいつから漂う香りは好ましかった。
アイツが飲んでる薬のせいか。
発症しようとしているからか。
ただの人間相手に、よく訪ねるようになってた。
寝ている時間に家に入っていようが、そいつは顔色一つ変えない。またいるの? の一言で済ませるんだから、結構度胸ある女だよな。
もっと――知りたい。
いつからそんなことを思うようになったのか、そいつに近付くことが多くなった。眠っている時なんか頬に触れ、温もりを感じたくなったり――どうやら、興味を持ち始めたらしい。