久遠の花〜 the story of blood~【恋】


 近付いてはダメだとわかるのに、制することができない。これ以上近付けば、コイツだって巻き込まれる可能性がある。だから、それを言えば拒絶する。そうすればオレも自身を律するっことができると思った。





『なら、血を飲んだ瞬間に死ぬぐらいの毒を飲んでおくわ』





 軽く、そんなことを言ってのけた。

 ホントにそれが現実になるかもしれないと強く言っても、いつもと変わらない。期待したような、拒絶の言葉も反応もされなかった。





 ――それで確信した。





 オレは本気で、コイツと関わってみたいんだと。


『もしそれで死んだら、次はあなたに護ってもらうわ』

『次って……死んだ人間をどう護れって言うんだ?』

『生まれ変わりってあると思うの。だから、次は簡単に死なせないよう、頑張って私を護ってね』

『……これから死ぬこと前提かよ』

『あなたよりは確実に先だと思うけど?』

『そんなこと、オレだってわからねぇーよ』

『ならその時は、私があなたを護ってあげる』


 凛とした、強さを秘めた存在。

 女としてだけじゃない。

 そいつの生き方、存在すべてに――オレは、完全に魅了された。
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