久遠の花〜 the story of blood~【恋】
『――――ニ、ゲテ』
段々と、言葉として聞こえる。それを理解した時――よりハッキリと、その声が聞こえた。
『ソコカラ……ニゲテ』
この声は……石碑で聞いた時の声?
『――――シンジャウヨ』
死んじゃうって……。
なんて物騒な、と思いながらも、どうにか体を動かしてみた。ゆっくり上体を起こしていると、尚も声は警告を続ける。
『シンジャウ、ヨ?――マニ、アワナイ』
それきり、声は途絶えてしまった。
あの声が言っていたことが本当なら……すぐそばに、敵が来ていることになる。
「ぁっ……、くっ!」
体を起こすことができない。でも、ここら逃げなきゃと思い、両腕に力を込め、這うように進んだ。
外にいる月神君を呼ぼうと、外側の障子に手をかければ、
「――――随分苦しそうだね」
私が開けるよりも先に、勢いよく戸が開いた。