久遠の花〜 the story of blood~【恋】
「しかもその方は、命華と親しい間柄でした」
「その人が作る花は……命華と、同じなんですか?」
「今は違うようですが、元は同じだったと聞いたことがあります。幸い、その方とは数日前にお会いしました。貴方の調子が戻り次第、その方に会いに行きましょう」
もしかしたら、花を作ることができるかもしれない。
そうしたら、月神君や雅さん。お姉さんや他のみんなも、助けることができるかもしれない!
そう思ったら、胸のつかえが和らいでいく気がした。
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「――調子はどうだ?」
「薬が効いてきたようです。今ではもう、反抗する気配もないと聞いています」
「気は抜くな。念には念を入れておけ」
「はい。既に手は打ってあります」
「ならばよい。――調整が済み次第、迎えに行かせろ」
「確か、他に命を出してあると聞いていましたが」
「あれは役に立たん。血は集めるが、肝心なのを持って来ぬ。まあ、抜け駆けせぬのはいい心がけだがな」
「彼にそのような気は起こせませんよ。起こせばどうなるか、彼が一番理解しているでしょうから」
「健気なことだ。その願いは、報われることが無いというのにな」
「そうですね。彼の願いは、とうの昔に費えています。支えであるものを失っては、生きる意味を無くしてしまうかもしれませんね」
「ふふっ。我としては、望ましいことだがな。――頃合いだろう。様子を見て来い」
「かしこまりました」
一礼すると、少年は部屋を後にする。向かうは、実験が行われている場所。
「至急、命華を連れて来いと、ディオス様の命です」
実験室に来るなり、少年はベッドに横たわる人物――叶夜に命令を告げた。
「人目に触れることなく、慎重にことを進ませるようにと。いいですね?」
「――――」
「聞こえないのですか? ディオス様のお望みなですよ?」
「――――了解、しました」
ゆっくり体を起こすと、叶夜は覇気の無い返事を返した。