久遠の花〜 the story of blood~【恋】
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辿り着いたのは、何処かの古い洋館。まだ人の世らしいけど、辺りに漂う雰囲気は向こうのように不思議で。まるで、ここだけ隔絶してるんじゃないかって思うほど。
「――――まさか」
扉を開けるなり、琥珀さんは言葉を失っていた。
雅さんに下してもらい、私も後ろから覗いて見れば、
「――――っ!?」
背後から目を隠され、体を支えられた。
「刺激が強いね。――ここには何人いたの?」
「少なくても十人はいたはずだ。エメがいるのに、手薄にするわけがないだろう?」
あまりの光景に、まともな言葉は出てくれなかった。
床一面に広がる液体。暗くてわかないけど、今の話やこの臭いで、血だってことがすぐに想像できた。
「僕が見て来るから、二人は外で待ってて」
音がすると、目を覆っていた手が外された。扉は閉められてるけど、さっきの光景が強烈で、まだ雅さんに支えてもらわないと立てそうにない。
「――やっぱアイツか」
「? あいつ、って」
「殺したのはキョーヤってこと」
思わず振り向けば、雅さんは更に続けた。
「結局さ、オレたちは行くとこまで行かなきゃいけないんだよ。抗うことなんてできない……今から別の手段考えるとか、そもそもムリなんだ」
諦めのような言葉。覇気が感じられないその雰囲気は、発作が起きた時とは違う恐怖を雅さんから感じた。
「――――ごめん」
途端、体に衝撃が走った。
わけがわからないまま、私の意識はそこで途絶えた。