久遠の花〜 the story of blood~【恋】


「――ニャ~」


 尚も私を呼ぶ猫。でも、やっぱり着いていくのは――。


「――ごめんね。私、もう帰らないといけないから」


 また今度ね、と言い、猫の頭を撫でる。

 後ろ髪を引かれながら、私は猫と別れることにした。

 途中振り返って見れば、猫は名残惜しそうに、ずっとこっちを見ている。

 あんなに懐いてくれるんだったら……もうちょっと、遊んであげればよかったかなぁ。

 そんなことを考えながら歩いていれば、空の色が、徐々に夜へ変わっていく。とても静かな時間が流れ、歩きながら沈む夕日を見ていた時、





「っ?!――ぁ、く」





 突然、酷い痛みが頭に走る。発作でも起きたのかと思っていれば――目の前に、どこかの景色が見えた。





『ごめん……ごめん、なさっ』





 誰かが、泣いてる。

 声からして男性のようだけど、顔はよくわからない。


『だい、じょっ、、、ごふっ、うぐ――…』

『オレの、せいで』

『違う、よ……。ねぇ――■■、もら、って』

『なに言ってんだよ! 絶対助けるから……だからそんなっ』

『自分、の……ことだから。■■――お願い』


 時々、言葉が聞こえない部分がある。

 理由はわからないけど、女性は息も絶え絶えで。彼女の周りは、たくさんの血で溢れていた。


『ちから、に。なりたい、から……』

『…………自分がイヤになる』


 力強く、女性を抱きしめる男性。

 なにを言っているのかわらないけど、それを聞いた彼女は、やわらかな笑みを浮かべていた。
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