暁に消え逝く星

攻防


 戻った三人の衣服についていた返り血を見て、リュケイネイアスは渋い顔をし、アルライカは驚いた顔をしていた。
「エギル様とファレス様に、今から全員で行くと伝えて来い、ライカ。今後のことを話し合う」
「おう」
 行く前に、イルグレンに声をかける。
「初陣はどうだった?」
「ああ。なんとか」
「俺やお前のときよりは立派だったさ」
 ソイエライアが横で付け足す。
 アルライカはソイエライアのようにイルグレンの頭を軽く撫でた。
「そうか、よくやった」
 それだけ言うと、アルライカは馬車のほうへ走っていった。
「やはり、そっちに行ったか」
 リュケイネイアスの言葉に、ソイエライアもやはり苦々しげに答える。
「ああ。皇子の顔も知らない奴らだった。腕はそこそこあるようだが、あの場に来た奴らは、全部片づけた。周囲も探ったが、とりあえず逃れた奴はいないな。ケイ達は?」
「こっちはいたって平和だ。一応ライカには馬で周囲を探らせたが、見張っている気配もなかった。昨日の様子見とは違うか、レシア?」
「違う気がする。昨日の今日で時期としては合うけれど」
「とりあえずお前らは着替えて来い。それから馬車へ。俺は先に行ってる」
 促されて、三人は天幕で着替えることにした。
 アウレシアは自分用の天幕へ、ソイエライアとイルグレンももう一つに入り、手早く着替える。
 そうして、馬車へ行くと、周囲はぐるりと護衛の者達で囲まれており、物々しい雰囲気を与えている。
 アルライカが馬車の入り口で待っている。
「お待ちかねだぜ」
「ああ」
 ソイエライアが先に入り、次がアウレシア、イルグレンと続き、最後にアルライカが入る。
 中にはエギルディウスが寝台の上に座り、その横にはソルファレスが床に直に座って控えている。
 その隣にリュケイネイアスが胡坐をかいて座っている。


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