暁に消え逝く星

 食事を終え、談笑していたリュケイネイアス、ソイエライア、アルライカ、アウレシアのうち、最初に気づいたのは、アルライカだった。
「護衛の一人が近づいてくるぞ」
 リュケイネイアスとソイエライアは目線を上げ、アウレシアは振り返る。
「隊長の言伝かもしれん」
 リュケイネイアスが腰を上げかけ、
「いや、あれは――皇子じゃないのか」
 ソイエライアが訂正する。
 四人は、一斉に近づいてくる姿を凝視した。
「ソイエの言うとおりだ」
 リュケイネイアスの呟きに、アルライカとアウレシアは顔を見合わせる。
「嘘だろ。何だって、皇子様がこんなとこに、しかもお供も連れずに一人で出てくんだよ……」
「幻を見てんじゃないだろうね、あたし達? それとも、蜃気楼かい?」
「――残念だが二人とも、現実だ」
 無常にかかるソイエライアの声。
 もう一度二人が視線を皇子へと向ける。
 アウレシアの視線が、皇子のそれと重なった。
 皇子は、ぱっと表情を変え、足早にこちらへ来る。
 近くまで来ると、アウレシアに向かって言った。
「お前を探していた」
「はぁ?」
 訳のわからぬアウレシアに、皇子は不思議そうに首を傾げた。
「言ったではないか。悔しかったらまた来いと。だから、来たのだ。私が勝つまで、これからは何度でも来る」


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