海の色
ニーとドーターは、お互いの言葉を探り合って

人間語とも人魚語ともつかない、泡と言葉の入り交じった二人だけの言葉を作り出していた。

最初は大変だった。松の枝で砂浜いっぱいに、ドーターは線や円を引いて駆けまわった。

ニーの方も何度も、海面に顔をつけて泡をたて、それが言葉なのだとドーターに理解させるのに苦労した。

はじめは、どの泡がどの音になるのか、お互いわからなくて、泡の形を砂浜に描いたり、声を出して確かめたり、その意味を考えたり。

そうするうちに、
ニーは喉を使った声の出し方を発見し
ドーターは丸い綺麗な形の良い泡をつくる事に成功した。

「ニーに伝えないと。明日の夜は島に近づいては、だめだって」

松明を作り終えたドーターは、小屋の中に戻って、早めに眠ることにした。

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