海の色
ふいに、
自分の息の出す泡とは違う、別の泡を感じてドーターは振り返って、泡の出る方向を見た。
―クップップ―
泡は、とぎれとぎれの空気の玉をつくると、いきなり彼女の足を掴んだ。
驚いた彼女は、慌ててそれを振り払おうと足をばたつかせた。けれど、それは離れない。まるで追われる魚たちのように、ドーターは海の中を逃げ泳いだ。
掴まれた足の奥の方で、ふたつの目が光るのを見た。
―クップップ―
泡の主はまるで、笑っているかのようだ。恐怖のあまり、ドーターは手にしていた槍で、足の方向を突き刺した。泡は
―クップッ―
と息を吐いて、ドーターの足を手放した。
瞬間、ドーターは水を蹴って、海上へあがろうとする。
光の届かない、この海の中では、泡の主の正体は掴めない。せめて、光の届く海域まで上がらない事には。
ドーターは、体を垂直にして、上へ上へと泳ぎ昇った。あまり急いで上へあがると、圧力を感じて体が軋んだが、今はそれどころではなかった。泡の主もドーターについて昇ってくる。
やっと、光の差す海域までやって来て、ドーターは振り返って泡の主の正体を確かめて見た。
「信じられない」
彼女は呟いた。
自分の息の出す泡とは違う、別の泡を感じてドーターは振り返って、泡の出る方向を見た。
―クップップ―
泡は、とぎれとぎれの空気の玉をつくると、いきなり彼女の足を掴んだ。
驚いた彼女は、慌ててそれを振り払おうと足をばたつかせた。けれど、それは離れない。まるで追われる魚たちのように、ドーターは海の中を逃げ泳いだ。
掴まれた足の奥の方で、ふたつの目が光るのを見た。
―クップップ―
泡の主はまるで、笑っているかのようだ。恐怖のあまり、ドーターは手にしていた槍で、足の方向を突き刺した。泡は
―クップッ―
と息を吐いて、ドーターの足を手放した。
瞬間、ドーターは水を蹴って、海上へあがろうとする。
光の届かない、この海の中では、泡の主の正体は掴めない。せめて、光の届く海域まで上がらない事には。
ドーターは、体を垂直にして、上へ上へと泳ぎ昇った。あまり急いで上へあがると、圧力を感じて体が軋んだが、今はそれどころではなかった。泡の主もドーターについて昇ってくる。
やっと、光の差す海域までやって来て、ドーターは振り返って泡の主の正体を確かめて見た。
「信じられない」
彼女は呟いた。