さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「篠原はいつから伊東さんのところへ?」
篠原のことを少しでも知りたい。
自分から話してくれるのを待っていようと思っていたけれど、さすがに限界だ。
教えてくれないのなら、篠原には申し訳ないけれど自分から探ればいい。
なんとなくでも、その育ちが分かれば一体どんな人物なのかわかるだろうから。
じっと見つめる。
「10になったときだっけかな。」
10歳で道場入門だって?
やはり、篠原はただの武士ではない。
普通入門は20前後にするものだ。
ある疑問が芽生える。
やっぱり、篠原の家は貴族なのか?
そのしなやかな立ち振る舞いといい、とても武士の家系に生まれたようには見えない。
「どうかした?」
「な、なんでもない!」
疑いの目を向けられたけれど、気づかない振りをした。
篠原・・・これは、偽名か?
篠原が貴族の家系だとしたら、篠原家なんて名前は聞いたことがない。
もしかして、篠原は────?