伝わるコトバ
「なぁ。
俺はお前が好きだ。
あ、付き合いたいとかじゃねーぞ!!
ただ、幸せになってほしいとは思ってんだ。」
「なんだよ急に。
俺もだ」
夏美を家まで送った後、公園でウダウダしていた俺に突然真剣な顔で言う悠に驚きながら答えた。
「俺達、いよいよ卒業だ」
「…そうだな」
夏美と出会ってからもう2年がたっていた。
もう俺達は3年生、卒業を迎えようとしていた。
悠は近くの大学に、俺は少し遠くにある大学に行くことになっていた。
「夏美ちゃんとも、もう会えなくなるぞ」
「…そうだな」
次に悠が言う言葉を、なんとなくわかっていた。
「告白、しねぇのか?」
「…しねぇよ」
「なんでだよ?」
「悠も知ってんだろ?
俺の好きとあいつの好きは違うんだよ」
あいつにとって俺はチョコと一緒。
分かり切ってることだった。
「わかんねぇじゃん」
「わかるだろ」
「亮介…
気持ちは、言葉にしなきゃ伝わんねぇんだ」
「……」
俺は、何も言えなかった。
悠が珍しく真剣な顔して言うから?
…違う。
何もできないんじゃなく、何もしてないだけの自分を見透かされてる気がしたからだ。