シンデレラの王子は。
「俺、もうお前と遊ぶの飽ーきたっ。付き合うとか、わりーけど無理だし、遊び相手と付き合うとか、まじねぇわ。お前、いー女だけど、俺のこと脅すつもりだったのに、逆にされたらダメっしょー」
アタシはさっさと服を着てホテルを出た。
「結城先生のバカっ」
最低。最低。超最低!!!!
ママは仕事行くって言ってたし、パパは当たり前のように海外に単身赴任中だから今日は朝帰りでもしよう。朝帰りは初めてじゃないし、それにこんな顔で帰ったら、祐紗兄と架嗄がうるさいだろうから。
まだ手が震えてる。何をしてても痛い。
悲しくなんかない。哀しくなんかない……。アタシ達の関係を『遊び』という言葉で片付けてしまう人なのに、そんなことをされてもまだ心で叫んでる。結城先生が好きだよ。そう思った瞬間に、頬を冷たいモノが伝った。複雑な気持ちがそれに溶け出して、止めどなく溢れた。いつも先生が車で送ってくれる時に通り過ぎる明るい街は、やけに長く暗く感じた。すれ違う人は、アタシのことを見ているけど、気になどならなかった。
ただ苦しい。
「あれ、祐紗の妹ちゃん?」
咄嗟に声をかけられた。聴いたことのない声。