…TRIANGLE…

 今はバスケだ、と穂香から目をそらす。


 隣の席の亜里沙は、全然関係ない部外者のくせに「私も行く」と言った。



「俺、一人でいいよ。もし本当にヤバいなら、あいつ誰にも会いたくないと思う」


 ヤスがぎりっと奥歯を噛んだ。


「くそ……あっちのセンター、ゴリラみたいな奴だったから隼斗が怪我したんだ……」


 葬式みたいに、しん、と静まった俺の周り。

 教室の中からいつもと変わらない話し声が騒がしく聞こえていて、俺たちがどれだけ不安なのか誰もわかってくれない。


 隼斗って、そういう奴だ。


 悔しいけど、そういう奴だ。


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