…TRIANGLE…

 ナツくんが自然と自転車を押しながら歩き出したから、私もその隣を歩く。

 その隣にいる資格なんてないのに、隣を歩けることがこんなにも嬉しい。ナツくんが会いに来てくれたのも嬉しい。隼斗のことを教えてくれたのも嬉しい。


「穂香、俺達さ……なんか面倒なことになっちまったけど、今まで通りに友達に戻れるよな?」


 だけど、その不器用な一言に傷ついてしまう。


「ナツくん、私に…………キスしたよね?」


「ああ、だからあれは深い意味ないし忘れて」


「わ……すれられない」


「穂香、悪いな。でも、俺たち元通りの幼なじみに戻るのが一番じゃないかと思う。隼斗も後戻りできない的なこと言ってたけど、俺は俺で隼斗と穂香とは今まで通りいたいっていうか……悪いけど穂香、そんな顔しないで」


 ナツくんが歩くのをやめた。私だけ先に進んで行く。

 止められない。隼斗と別れて、学校ではいじめられて……それでも私は全然懲りずにナツくんに恋してる。




 

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