としサバ
2話 姉パンツ
 雫へのいじめが始まったのは、2カ月ほど前からだった。
 それは、ある事件が発端となっている。



 その日には、体育の授業があった。

 
 6年A組の教室は、体育服に着替える生徒たちでざわめいていた。
 その時、大きな声が上がった。



 「それ、女物のパンツやろ」


 
 「こいつ、女のパンツはいてら」


 「吉岡は変態や」


 数人の男子生徒たちが、吉岡保を取り囲み、パンツを引っ張りながら冷やかしている。

 
 「パンツを離せ。これは、姉ちゃんのパンツを間違えただけや。朝寝坊をして、学校に遅刻しそうになったから、慌ててはき間違えただけや」


 保は必死で弁解しながら、ベソをかいている。


 「僕は変態やない。慌てモンなだけや。ウッウッウッ」

 
 保は涙を流し、しゃくりあげている。






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