としサバ
 「それで、男子生徒4人と女子生徒3人に冷やかされたの」

 「はい、そうです」


 保が頷いた。


 「それから、どうなったの」

 「今野さんが冷やかすのを止めるように言いました」

 「皆は冷やかすのを止めた」

 「男子生徒は止めましたが、女子生徒は注意された逆恨みで、今野さんに喰って掛かりました」
 「・・・」

 「それからも彼女たちは今野さんを目の仇にして、事ある事に嫌がらせをしています。僕は、僕の為に巻き添えを喰った今野さんに、悪くって、悪くって」


 そう言って、保は泣き出した。

 遠藤先生は吉岡君の涙を見て、吉岡君と今野さんの二人は、かなり、たちの悪い嫌がらせを受けていたのだ、と実感した。

 そして、3人の話を総合して、事の真相が大体分かってきたと思った。


 「涙を拭いて。男でしょう」


 安藤先生は保に自分のハンカチを渡した。

 蝶々の模様が入ったハンカチで、保は何度も何度も涙を拭った。




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