としサバ
24話 時効
 その夜、信彦はひとりでやけ酒を飲むつもりでいた。

 一升瓶を傾けて、日本酒をコップにトクトクトクと注ぐ。

 酒を飲めば、愚痴が口からこぼれ出た。


 「欲を出しやがって。腹八分を忘れたか。それを腹いっぱいも食うなんて。欲の皮が張った亡者めが」 
 
 
 信彦は自分自身を口汚く罵った。
 幾ら、自分自身を罵っても気分は晴れなかった。


 時計を見ると、10時を30分ほど過ぎていた。

 
 「かの川でも行くか」


 信彦のマンションから、かの川までなら、歩いても11時頃には行ける。

 信彦はそう思い立つと、普段着のままでかの川に向かった。







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