としサバ
38話 飛び下り
 雫は庇の上から下を覘いて見た。
 くらくらっと、目が眩む。



 「やばい」



 雫は思わず校舎にへばり付いた。

 カバンが窓枠の上にある。

 それを、引っ張るようにして取り、雫はカバンの中から2通の遺書と携帯を取り出した。

 校舎に立て掛けられたカバンの前には、遺書が2通置かれている。
 その上に、雫は携帯を重しのようにして置いた。


 運動場では、女子生徒たちが追いかけっこをしている。

 その右手に、じっと校舎の方を見詰めている男子生徒がいた。
 それが保だった。


 雫は保の方を見て、左手を高く上げた。
 保は気が付いたようだ。


 携帯を取り出し、保が警察に電話を掛け始めた。




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