小さな豆子は霊能力者!? ―マイ・プレス―
小豆side
「えーと・・・んーっと
・・・お、あった!!」
校門を再度くぐって、
教室へと戻ってきた私
机の引き出しをガサゴソと探して
見つけた電車の定期
「あーよかったあ、
でも何で机の引き出しなんかにしまったんだろ」
いつもカバンにつけてるんだけどな・・・
でも、ま、見つかったわけだし、一見落着だよ
さてー、帰ろー
よいしょと立ち上がったその時、
ガラッと教室のドアが開いて
体がビクついた
「あれ、小清水さん?」
「あーほんとだ、どうしたの?」
2人組みの女の子が教室に入ってきたのだった
「え、あ、あの・・・その・・・あ・・・」
心臓がドキドキする
どうしよう・・・てゆうか、
私こんな人見知りだったっけ・・・
ああああああ、怖いー!!
自分でも何でか知らないけど怖い!!!
あ、あれ、あの子達の名前・・・
なんだっけ・・・
ああああああ私知らない!!!
わかんない!!!
一人でパニくってた私
あー絶対変に思われちゃうよおお、あああ
そんなネガティブ発動していて、
陰気臭くなっていた
きっと呆れて出て行ってしまうだろうって思ったのに
なぜか2人は私に話しかけてくれた
「小清水さん」
「は、はいいいいいいっ!!!」
ビクついて大きな声で返事をしてしまった
ああああ絶対引かれたよおおおお
「あははははっ、小清水さん面白い!」
「・・・へ?」
「私の名前は早川樹里那、よろしくね」
背の高くて美形、髪の毛は黒い色でストレート
鈴可ちゃんの次にお姉さんっぽい・・・
「私は陽菜瑠璃だよ」
こちらの身長は少し低め、でも私よりは大きい
茶色くてフワフワした髪の毛でポニーテールをしていた
「あ、あの・・・小清水・・・小豆です」
「あははは、言わなくても大丈夫だよ、知ってるから」
「え、あ、あの、すみませんっ」
「いいよいいよ、謝らなくて」
2人は落ち着かない私を見て優しく話してくれた
「ねえ、ちょっとお話しない?」
「え・・・あ、はい」
と言うわけで、少しだけ2人とお話をする事に・・・
「よかったあ、小清水さん、
いつも鈴可や色葉と仲よくしてるからさ」
「喋ろうと思ったけど・・・ちょっとね」
「あ、そうだったんだ・・・」
話しかけようとしてきてくれた・・・んだ
う、嬉しい・・・
「ね、ところでさ、小清水さん、
鈴可達と風紀委員なんでしょ?」
「え、あ、うん、まあ」
「いいなー楽しそうでー、
しかもさ、アレだよね、アレ!」
「そうそう!!アレアレ!!」
「・・・アレ?」
何だろ・・・アレって・・・
「決まってるじゃん!
ジョーカーとキングとジャックだよ!!」
え、何、トランプ!?
「もーちょーカッコいい!!」
「小さい頃はヤンチャでダメだったのに、
急に手の届かない存在になっちゃったよね、
3人とも!」
「ほんとほんとー、
ずっと同じクラスとか嬉しいよねー、誇りだわー」
「・・・あの何の話?」
「え、小清水さん、
あんなに近くにいるのに気づかないんだ!?」
樹里那ちゃんが目を見開いて驚いていた
や、そんなに驚く事ないっしょ
ていうか、トランプのあの異名な別名・・・
そして付け加えるように瑠璃ちゃんも言った
「ちなみにね、鈴可と色葉もあるんだよ」
「そうそう、鈴可がクイーンで色葉がエース!」
「・・・って事は、小清水さんは何だろね?」
はぁ・・・よくもまぁ、そんな・・・
てゆうか・・・
「そういう別名って自分達で決めたんじゃないんだね?」
「もちろんだよ!!」
「私達、外部の人間が勝手につけて、
勝手にそう呼んでるだけだよ」
「へー」
まぁ、あのデカ三人はプライドありそうだし、
自分で付けるわけないか・・・
特に仏頂面の千歳くんは
「んーじゃあ、小清水さんはなんだろ?」
「んー・・・セブンスとか?」
「せ、せぶんす?」
何か怪人みたい・・・と思ったのは私だけ??
「あーいいかも!ナイスだよ、樹里ー!」
「いいでしょー!?何かラッキーって感じする!」
「ラッキー?」
てゆうかセブンスって事は7って事だよね
何でラッキーなんだろ・・・
「何言ってるの、小清水さん!
ラッキーセブンって言うでしょ!」
「はぁ・・・」
「小清水さんって風の如く現れて、
突然消えてくよね!」
え、何それ・・・
あーもしかしていっつも隠れてるから・・・とか
休み時間は大体トイレ
狭いところって落ち着くって理由もあるんだけど
一番は霊能力者だからかな・・・
私は幽霊が見える、もち、
私が見えるのなら彼らも私が見える
てゆうか、私が霊能力者であり、
どれだけの力を持っているかを知っている
だから悪さはほとんどしないし、
人間界は自由だから
規制されている黄泉の世界へ行きたくないのだ
でも私がここにいるのをいいことに、
邪まな思いを持つ幽霊は違う場所へ行き悪さを企む
そんでもって、私が邪魔なのだ
私の能力を持つ人物は100年に一度と言われる
異質の体質であり、力を持った人間
だから私を殺してしまえば、
一生人間の世界にいられるわけだ
と言うわけで・・・
「私にはラッキーは呼べないよ」
私の周りには幽霊ばかり
昔、私の家は怪奇現象ばかり起こっていた
私はそれ程気にしてなかったし、
当たり前だと思ってた
でも後々、
それが私のせいだと知ったとき怖かった
私のせいで周りに何か起きていたと
考えるだけで震え上がった
だから私は不幸の現況だ
「・・・小清水さん、何かごめんね?」
瑠璃ちゃんが私の顔を覗き込み
優しく声を掛けてくれた
「え、あ、ううん、大丈夫だよ」
私はすぐさま笑顔を作る
・・・アレ、私、
今まで笑顔じゃなかったんだ?
どんな顔してたんだろ・・・
「あ、もうこんな時間だよ、
そろそろ学校閉まっちゃうや」
「ヤバ、絶対道混んでるよー、どうしよ」
時計を見ると7時過ぎ
アレから1時間も話してたんだ・・・
「行こっか、小清水さん?」
「うん、ありがとう」
私は再びあの長い廊下を歩き始めた
2人は私の横で
ぺチャぺチャお喋りをしていた
仲いいんだなと私は思う
私もそうなりたい、
皆と・・・仲良くお喋りしたい
「あ、教頭先生!!」
途中、教頭先生とすれ違った
そういえば教頭先生とは
入学式後の体育館トイレであった
トイレの花子さん騒動以来の顔合わせだった
2人は教頭先生のいる場所へ走ってっいった
そこへ私も付いていく
「こんにちわ」
「こんにちわー」
「もう帰るのかい?」
「そうですよー」
「てゆうか、下校時間とっくにすぎてるから
早く帰らなきゃだよね、本当は」
「だねー、長居しすぎたー」
「そうですか、残念です、
もっと遊んで行けばいいのに」
「えー先生どうしたの?何か子供みたい」
「そんな事ありませんよ」
2人の事を先生は知っているようだった
あーそういえば、
あの時、私も会っていたけど
教頭先生は気絶していたわけだし
私の顔などしらないだろうな
ましてや名前なんて・・・
「小清水さん」
「は、はい・・・?」
え、ウソ、知ってた
「あなたも帰るのですか?」
「ええ、まぁ・・・」
そりゃ帰りますよ!!
ここにいても幽霊ばっかりだし、
てゆうか怖いし!!
「そうですか、遊びたかったのに、残念です」
「・・・それじゃあ、先生帰りますね」
「さ、さようなら!!」
「さようなら、3人とも」
そして先生は私達の背中を見詰めて言った
どうして見ていたのかわかったって?
そりゃ、痛い程の視線を感じたからよ
鋭くて怖くて・・・軽く恐怖で
下駄箱まで小走りをして、
2人がやっと口を開いた
「ねぇ、何か先生、おかしくなかった?」
「うん、何か・・・変だったよね?」
・・・変?
「どうして?」
思わず聞き返す
「どうしてって・・・
いつもの先生らしくなかったよね?」
「うん、いつもなら下校時間すぎてる時は
ちゃんと怒る人だもん」
「それに遊ぼうって言ってたよね・・・?」
「うえー怖・・・何か気味悪いね・・・」
確かに・・・ちょっとおかしい
それによく考えてみたら・・・
なんで先生、あんな所に立ってた・・・?
だってあそこ・・・
「何をやってるんですか?」
《ビクッ》
「わひゃっ!?」
急に肩に手を置かれビク付いた
慌てて振り返るとそこにいたのは
「教頭先生・・・」
どうして・・・
「帰らないんですか?」
「あ、今帰りますよ」
「そうですか・・・帰っちゃうんですか」
《ゾクッ》
・・・怖い
何、この威圧感・・・尋常じゃない・・・
急に背中がゾクゾクして吐き気に襲われた
冷や汗がドバッと噴出してくるのが直にわかった
「か、帰ります!!!小清水さん行こ!」
樹里那ちゃんが私の手を引っ張って
外へ猛ダッシュしてくれた
そして校門を出た
「・・・何、あの先生・・・」
「何か尋常じゃないよ・・・・」
確かに・・・尋常じゃなかった
そして走っているとき、感じた
少し後ろを振り返ると俄かに笑っていた事を
「・・・じゃあ、私達、バス停こっちだから・・・」
「あ・・・うん」
「小清水さんは電車だったよね、方向逆か」
「気をつけてね、また明日!」
「うん・・・また明日・・・」
2人はその後、何事もなかったかのように、
笑顔になり話して行った
私は・・・笑顔になれなかった
頭がガンガンする・・・
「ヤバイ・・・」
とりあえず、駅へ向かおう・・・
そう考えるしかなかった
2人の過ぎ行く背中を見てから、
私は方向転換をし駅の方向へと歩もうとした
だが、すぐに壁にぶつかった
「ぶへっ!?」
「ってーな、前見て歩けよーチビ太ー」
鼻をくすぐる甘酸っぱい匂い
この匂いは・・・嗅いだ事ある・・・
ゆっくりと顔を上げるとそこには
眉を眉間によせた、見慣れた顔があった
「大・・・ちゃん・・・?」
「おうよ、お前、俺を何時間待たせてんだよ?」
「何で・・・帰ったんじゃ・・・?」
「はー?お前置いて帰れるかよ?
危なっかしいし、何かあったら奈緒姉に殺されっからな」
・・・そっか、そうだったんだ
「あり、がと」
「別に大した事してねーよ、
つーか、お前前見て歩けよな、
もしぶつかったのが俺じゃなかったら・・・
ってオイ、聞いてんのか!?」
思わず力が抜けて、地面にペタンと腰を下ろした
「オイ、お前、すげー汗じゃねーかよ、
大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
大ちゃんもしゃがんで
私の顔と同じ位置に顔を置いてくれた
そして何とか笑顔を作り、
大ちゃんに向けた
「・・・オイ、全く大丈夫そうじゃねーんだけど」
「ごめん、何でもないよ、
じゃ、行こっか・・・」
足に力を入れて立ち上がる
そして歩き出した
でもすぐに立ち止まった
だって
「な、何・・・?」
奴が腕を掴んだから