続・俺様王子の初恋





しばらく葵を見ていると
潤んだ瞳から涙が零れて
赤い頬を濡らしていた。





寒いのか手を擦り合わせながら
白い息を吐き、目の前の景色に
目を奪われていた。





「 ・・・泰雅 」


「 ん? 」


「 あ、りがとう・・・ッ 」





葵の小さな身体を後ろから
抱きしめると、俺の腕に
葵の腕が添えられた。





「 ・・・・別に 」









────────俺が、葵と見たかっただけ。







初めてここに来たのは高一の冬。
葵とはまだ出会ってなかった。
一人になりたくて来たのがここ。
適当に歩いていたら、いつの間にか
ここに着いていた。







< 341 / 365 >

この作品をシェア

pagetop