続・俺様王子の初恋
しばらく葵を見ていると
潤んだ瞳から涙が零れて
赤い頬を濡らしていた。
寒いのか手を擦り合わせながら
白い息を吐き、目の前の景色に
目を奪われていた。
「 ・・・泰雅 」
「 ん? 」
「 あ、りがとう・・・ッ 」
葵の小さな身体を後ろから
抱きしめると、俺の腕に
葵の腕が添えられた。
「 ・・・・別に 」
────────俺が、葵と見たかっただけ。
初めてここに来たのは高一の冬。
葵とはまだ出会ってなかった。
一人になりたくて来たのがここ。
適当に歩いていたら、いつの間にか
ここに着いていた。