青薔薇に愛を込めて
しばし呆然としていたら、リツィリアさんの腕に乗っかっていたローニャくんが、するりと彼の腕から抜け出した。
そして部屋の中央の泉に足を向ける。
リツィリアさんはそれを静かに見つめ、横にいる私の袖を引いた。
「ハルカ、聞いて」
潜められた声音に顔をあげれば、金の瞳はとても真剣。
はい、と答えればふわりと少しだけ微笑む。
「始まる前に説明しておくけど、君はこの世界では渡人というんだ。推測、というか確信しているんだけど、君は異世界の民だろう?君のような異世界から来た人々を総じて"渡人"と僕たちは呼んでいるんだよ」
何が始まるのだろうか、と嫌な予感に眉を寄せたけれど、続いた言葉に心臓が跳ね、私は目を見開いた。
何故、知っているのか。私が異世界から来たのだと。
言った覚えなんてない。
だって、当の私でさえ到底受け入れられない事実なのだから。
リツィリアさんは私の反応に「君が異世界の民だと分かった理由は後でね」と苦笑いをして、さらに続けた。