青薔薇に愛を込めて


確かさっきもこの人に誰なのか尋ねた気が…


ん?さっき?



私はシワが盛大に寄った眉間に指を当てて考えた。



あー…思い出せない。

喉のとこまで来てるのに!



もどかしさに若干苛立ちを感じつつも、じっと黙りこくって思考を巡らせる。



すると、俯いた拍子に視界に入った自分の空色のドレスにふと、そういえば今日は柚子のうちで仮装パーティだったなと頭の片隅で思った。



「――あぁっ!」



そうだ、あの扉!

開かなくて怖くて、幽霊がいると思ったらこの人だったんだ、確か。



やっとの思いで記憶を絞り出した私は、勢い良く美少女を見上げる。



…そして懲りずに再び叫び声をあげた。



「ど、ドッペルゲンガ――――!!」



どうりで見覚えのある顔だ。

だって、私そっくりなんだもん。それも気持ち悪いぐらい。



…てか、同じ顔がこんな美少女なのに、私は何故かわいくないんだろう。

何よりも最初に思ったのは、この世の理不尽さを嘆くものだった。

少し切ない。


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