青薔薇に愛を込めて
うう、今絶対に顔赤い…
だってあんなこと思い出しただけで恥ずかしいもの。
私の言葉にリツィリアさんのマシンガンのような話は、しばし停止した。
そしてたっぷりの沈黙の後。
「………お互いの交遊関係に口出ししないと決めたじゃないか。
それにね、君が逃げ出したせいで、僕は夜会に行く気が失せたんだよ。もし僕が一人で参加していたら貴族たちに根掘り葉掘り聞かれるのは火を見るより明らかだ。そんな面倒なこと、されたいと思う人がいると思うかい?」
「いや、確かにそうだけどでも、そういう問題じゃないと思いますっ」
やっぱり前言撤回。
この男、最低なままだった。
優しい人だなんて思った、私がバカでした。
背徳心とか罪悪感とかあんたにはないのか!
「それに私を責めるのはどう考えてもお門違いです」
私はヴェルではない。つまりはリツィリアさんの婚約者でもない。
ごく一般の人間がいきなり知らないところに連れていかれたら、誰だって逃げ出したくなるだろう。
あの時逃げ出したことについては、私は悪くないはずだ。
私は彼にとって、赤の他人なのだから。