強引な次期社長の熱烈プロポーズ

「№４３８が３７冊、と。」

百合香はあれから黙々と数を取っていた。
メモにはぎっしり数字の羅列。

ガチャ

誰も来るはずのない倉庫の扉が開いた。
百合香はびくっと体を跳ね上げて振り向いた。
そこには扉に肩を預けて腕を組み立っている柳瀬がいた。

「や…柳瀬さん！」

なぜか慌ててしまう百合香は山積みになった在庫品をぶちまけてしまった。
さらに慌ててそれを掻き集めようとした百合香に柳瀬はゆっくりと近づいた。


「す、すみません」
「…だいぶ進んだ？」
「えっ？あ…えーと…半分くらいかと…」

百合香と柳瀬は残りの在庫の山を見た。

「休憩、どうぞ？」

百合香はなんだかわからないドキドキに耐えながら、散らかした床を片づけ続けた。

「あ…キリがいいところで、休憩入りますね。」
「俺が片付けとくから、いいよ」

そういって柳瀬も手を伸ばした瞬間に百合香の手と手が重なり合った。