強引な次期社長の熱烈プロポーズ
バッ

百合香はとっさに手を引いた。


(しまった…)


こんな風にしたら意識してると思われてしまう。
というか、こんな密室に2人きりでいたら昨日のことを思い出してしまって…意識するなという方が無理――――


百合香は体を小さくし、引っ込めた手を握りしめ胸にあてる。
その姿を柳瀬は見つめていた。

「す、すみませ…」
「何考えてるか、あてようか」

その一言で百合香は不意に顔を上げる。
すると柳瀬の顔がゆっくりと近づき、唇に触れた。


(どうして…拒めないの?)


百合香は自分の意と反して柳瀬のキスを受け入れる。
堅く閉ざした筈の唇は、柳瀬の丁寧なキスで力が抜け、それを待っていたかのように中まで侵食される。
百合香は心地良さと胸の高鳴りでおかしくなりそうだった。

腰に回された手をさらに引き寄せられると、百合香はいよいよ腰が砕ける寸前になってしまう。

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