強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「坂谷さん。私やっぱり…」


そしてまた少し沈黙が続いた。

「…もう少しオレのことみてみて?」
「え・・・」
「コレ、オレの携帯だから」

坂谷に手渡された紙には11桁の数字が並んでいた。

RRRRRR RRRRR

今度はその坂谷の携帯が音を鳴らしている。
坂谷の着信はメールではなくて電話のようだ。


「じゃ、また」


そう言って坂谷は背を向けて電話に出ながら歩いて行った。
百合香は手にしたメモを見つめた。


(智さんとは違う、男の子っぽい字…)


それをポケットにしまって百合香もメールを開く。
それは柳瀬から待ち合わせ場所を知らせるメールだった。





『坂谷くん?今日はどう?』

「いえ…もう別れましたよ」

『強引に誘えばいいのに』

「そういうの、好きじゃないんスよ。それよりもう戻ったんですか?
阿部さん」

『…ええ。今は社にいるわ』

受話器の向こうでは美雪が一枚のFAXを手にしていた。
< 361 / 610 >

この作品をシェア

pagetop