強引な次期社長の熱烈プロポーズ
百合香は振り向かないで、そのまま床を見つめて声を上げた。


「すごくいやだった。電話に阿部さんが出たのも、智さんが同じ部屋にいたことも!」

「百合香···」

「それでも阿部さんと次の日も一緒だったのも!」

「百合香!」

「どうしてっ…一晩中なんてっ」



泣くなんて狡い。
泣いたら自分だけが被害者みたいになってしまって、智さんを傷つけるだけなのに。
でもこんなにも胸が苦しくて、それを軽減させる術なんてない。


「俺のこと、嫌になった?」


抱き締められてる後ろから、聞こえてきたのは冷静になれば、言われそうとわかっていた言葉。
自分で彼を突き放すようなことばかり言ったのだから。

嫌になんてならないのにまだこの期に及んで素直になれない私は、本当に臆病で狡い。


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