強引な次期社長の熱烈プロポーズ


お風呂に入って、着替えて落ち着いた時には時刻はもう0時過ぎ。


「明日は特に何もないからゆっくり寝てていいよ」
「でも、出掛けるんですよね?」
「昼からでも十分間に合うから」


そんな話を2人で天井を仰ぎ見て、ひとつのベッドの中でする。
いよいよ瞼がトロンと閉じ始めた時には柳瀬が優しくキスを落とす。

そして完全に目を閉じる時には決まって百合香は柳瀬に寄り添って、温もりと香りを確かめるようにして眠りにつく。


今日は遠のく意識の片隅で江川の言葉が思い出されたけれど、お酒と睡魔には勝てなくて、そして柳瀬の優しく撫でる手が心地よくてそんなことを考えずに済んだ。


どうか夢の中まではそんな記憶を持っていかないように。と祈りながら――

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