強引な次期社長の熱烈プロポーズ
百合香は電気の消えてる家々をボーっと眺めながらさっきまでの楽しさを反芻していた。


「あ。そういえば明日はどこか行くところ決まってたんですか?」
「ちょっと。付き合ってくれる?」


さらりと、だけど答えは濁して柳瀬が言ったが、百合香はそれ以上追及することなく頷いた。

ちらっと私を見て、ふっ。と優しく笑う智さんが好き。

そのあとすぐに前を見て、また真剣な顔に戻ってハンドルやギア操作をするのだけど。


ずっと見つめていられるけど、見過ぎたらまたなにか言われてしまうから我慢をして反対側を向いてまた景色に視線をやることにした。


流れる景色は早くて、あっという間に柳瀬の自宅についてしまう。

当たり前のように百合香も降りて部屋へ入るのだが、未だに恐縮しながら玄関に入る百合香を柳瀬はいつものように呆れて笑って見ていた。

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