強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「お待たせしており、申し訳ありませんでした」
「いえ」


柳瀬とその店員の会話を聞く限りでは、初めて来た感じではないらしい。

そしてあの入口からここへ案内される間にショーケースをいくつも通り過ぎてきたから、ここに何を求めに来たのかは百合香にだって理解できた。

言ってみたらあの外の大きな看板で、既に理解は出来たのだけど、今度は気持ちが追いつかない。


だってここ――“exele”って・・・・・



「こちらがご注文のお品です、どうぞお手に取って見てください」



一つも曇りのない硝子のテーブルに乗せられた黒いトレー。
そこにはひとつ、丸く輝いているそれがこちらを見ていた。


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